こんにちは。庭と暮らす、日々のこと。、運営者の「ゆう」です。
お庭の手入れを少しでも楽にしようと、防草シートや人工芝の導入を検討されている方は多いはずです。
でも、調べていくうちに検索候補に現れる「防草シート デメリット 虫」という不穏なキーワードを見て、急に不安になってしまった…という経験はありませんか?
「せっかく高いお金と時間をかけて綺麗にしたお庭が、ムカデやゴキブリの巣窟になったらどうしよう」
「シロアリが湧いて家までダメになったら、元も子もない…」
その気持ち、痛いほどよく分かります。実は私自身も、初めて庭のDIYに挑戦したとき、同じ恐怖を感じて徹底的に調べ回った経験があるんです。
でも、安心してください。結論から言うと、防草シートそのものが虫を発生させるわけではありません。
虫が集まるには明確な「理由」と「条件」があり、それを事前に知って対策しておけば、リスクは劇的に減らすことができるのです。
この記事では、単なる噂話ではなく、なぜ虫が集まってしまうのかという生物学的なメカニズムから、プロも実践する具体的な施工テクニックまで、私の経験を交えて徹底的に解説します。
これを読めば、虫への漠然とした不安が消え、自信を持って快適なお庭づくりをスタートできるはずです。
- 防草シートの下が「虫の楽園」になってしまう環境的メカニズム
- ムカデ、ゴキブリ、シロアリなど、害虫ごとの具体的な侵入経路とリスク
- 虫を物理的にシャットアウトする「不織布シート」の選び方と優位性
- 施工後のトラブルを防ぐための、正しい整地・固定・メンテナンス方法
防草シートのデメリットで虫がわく原因とは

「防草シートを敷くと虫が増える」という話は、半分正解で半分間違いです。正確には、シート自体が原因なのではなく、施工によって作られる「シート下の環境」が、虫にとって居心地の良い場所になりやすい、というのが真実です。
虫たちは適当に集まっているわけではありません。「暗い」「湿っている」「狭い」「餌がある」という条件が揃った場所に、生存本能に従って移動してくるだけなのです。ここでは、私たちの庭が知らないうちに虫の好む環境になってしまうメカニズムを、害虫の種類別に深掘りしていきます。
人工芝の下はムカデの好む環境になりやすい
庭作業をしていて最も遭遇したくない害虫の一つ、それがムカデではないでしょうか。あの見た目と、咬まれた時の痛みを考えると、絶対に寄せ付けたくないですよね。
実はムカデという生き物は、私たちが思っている以上に「乾燥」に弱い生き物なんです。彼らの体は水分を保つ機能があまり発達していないため、乾いた場所にいるとすぐに干からびて死んでしまいます。そのため、常に適度な湿り気がある場所を必死に探して生きています。
ここで問題になるのが、防草シートや人工芝による「マルチング効果(保湿効果)」です。シートで地面を覆うと、土の表面からの水分蒸発が抑えられます。これは植物にとっては良いことなのですが、裏を返せば「シートの下は常にジメジメした高湿度状態」が保たれることを意味します。これが、乾燥を嫌うムカデにとって砂漠のオアシスのような快適な避難場所になってしまうのです。
さらに恐ろしいのが「食物連鎖」です。ムカデは肉食性で、ゴキブリやクモ、ダンゴムシなどの小さな虫を捕食します。もしシートの下が湿っていて、餌となる小さな虫たちが住み着いていたらどうなるでしょうか?「快適な湿度」と「安全な隠れ家」、そして「豊富な食事」が揃った場所。これこそが、人工芝の下にムカデが集まってくる本当の理由です。
ここがポイント
「人工芝だからムカデが出る」のではなく、「水はけが悪く湿気がこもる場所に施工した結果、ムカデの好む生態系ができてしまった」というのが正しい理解です。
防草シートの裏にゴキブリが巣食うリスク
「庭にゴキブリがいるなんて想像したくない!」と思われるかもしれませんが、彼らは屋外の植え込みや落ち葉の下など、自然界のあらゆる場所に生息しています。そして残念なことに、防草シートの施工方法を間違えると、彼らにとって最高の「マンション」を提供することになってしまいます。
ゴキブリは「負の走光性(光を嫌う性質)」と「正の走触性(狭い隙間に体が触れていると落ち着く性質)」を持っています。防草シートと地面の間の数ミリ〜数センチの隙間は、まさに彼らの理想郷。外敵である鳥などから身を守りつつ、安心して繁殖できるスペースなのです。
特に危険なのが、施工前の「除草」が不十分なケースです。枯れた雑草や根っこをそのままにしてシートを被せてしまうと、それらが腐敗して有機物となり、ゴキブリの格好の餌になります。「隠れ家」の中に「食料」まで用意してあげるようなものです。また、人工芝の上でバーベキューをしたり、お子さんがジュースやお菓子をこぼしたりした汚れを放置するのも厳禁。甘い匂いに誘われて集まってきたゴキブリが、シートの継ぎ目や端の隙間から裏側へと侵入し、そこを拠点にしてしまうリスクがあります。
家を守るためにシロアリの蟻道を防ぐ施工
庭の不快害虫であれば、最悪の場合、駆除すれば済みます。しかし、家の資産価値そのものを脅かす「シロアリ」に関しては、絶対に甘く見てはいけません。防草シートの導入で最も注意すべきなのが、このシロアリリスクです。
シロアリもムカデ同様、湿気を好み、光や風を嫌います。通常、家の基礎には「床下換気口」が設けられており、床下の通気を確保してシロアリを防いでいます。しかし、雑草対策を徹底しようとするあまり、防草シートや人工芝でこの換気口を塞いでしまう、あるいは換気口の直前まで物を置いて通気を阻害してしまうケースが後を絶ちません。床下の湿度が上がれば、シロアリを呼び寄せる確率は格段に上がります。
また、「蟻道(ぎどう)」の発見が遅れるという物理的なリスクも見逃せません。シロアリは地面から基礎のコンクリート表面に泥のトンネル(蟻道)を作って家屋へ侵入します。もし、防草シートを基礎の立ち上がり部分にベッタリと貼り付けて隠してしまったら、この蟻道が見えなくなってしまいます。「気づいたときには手遅れだった」という事態を防ぐためにも、基礎周りの施工には細心の注意が必要です。
(出典:国土交通省『木造住宅の維持管理について』)
隙間から入るアリとナメクジの生態
小さくてどこにでもいるアリですが、防草シートの下に巣を作られると厄介です。アリは、シートのほんのわずかな隙間や劣化して破れた穴を見逃しません。特に、施工時の整地が甘く、地面にデコボコが残っていると、シートと地面の間に空間ができ、そこがアリの巨大なコロニーになることがあります。
元々アリの巣があった場所に、巣の処理をせずにそのままシートを被せてしまった場合も悲惨です。行き場を失ったアリたちが、シートの継ぎ目やピンの穴から大量に地上へ湧き出してくる…なんてことになりかねません。また、人工芝の上に落ちたお菓子の食べこぼしなどの糖分は、アリを強力に誘引します。
一方、ナメクジは「多湿環境のバロメーター」とも言える存在です。彼らが大量発生するということは、その場所が常にジメジメしている証拠。特に注意したいのが、防草シートの上に直接「鉢植え」や「プランター」を置いているケースです。鉢の底は常に湿度が高く、シートとの接地面はナメクジにとって最高の隠れ家になります。夜になるとそこから這い出し、大切に育てている植物を食い荒らすのです。
水はけの悪い場所に蚊が発生するメカニズム
夏場の庭作業で私たちを悩ませる「蚊」。防草シートを敷いたら蚊が増えた、という声を聞くことがありますが、シート自体から蚊が湧くことは絶対にありません。原因はほぼ100%「水たまり」です。
蚊の幼虫であるボウフラは、わずかな水たまりがあれば発生します。もし、防草シートの下の地面が平らにならされておらず、窪み(不陸)があったらどうなるでしょうか?雨が降った後、その窪みに水が溜まり、シートの上、あるいはシートの下で水が滞留します。水はけの悪い土地に透水性の低いシートを使ってしまった場合も同様です。
特に、防草シートの上に砂利を敷いている場合、砂利の中に隠れた水たまりは見つけにくく、気づかないうちにボウフラの養殖場になっていることがあります。「水が溜まる場所を作らない」ことこそが、最大の蚊対策なのです。
防草シートのデメリットとなる虫への対策法

ここまで読んで「防草シートって怖い…」と思ってしまったかもしれません。でも、大丈夫です。原因が「湿気」や「隙間」であることが分かれば、それを防ぐ対策を打てば良いだけのこと。
適切な資材を選び、正しい手順で施工すれば、防草シートは雑草という「虫の最大の発生源」を断ち切り、むしろ虫のいない快適な庭を実現する強力な武器になります。ここからは、私が実際に実践し、効果を実感している具体的な対策テクニックをご紹介します。
虫除け効果が高い不織布タイプを選ぶ
これから防草シートを購入するなら、絶対にこだわってほしいのが「シートの素材と構造」です。市場には大きく分けて「織布(しょくふ)」と「不織布(ふしょくふ)」の2種類がありますが、虫対策を最優先するなら、迷わず「不織布タイプ」を選んでください。
| タイプ | 構造の特徴 | 虫対策の視点での評価 |
|---|---|---|
| 織布タイプ (ホームセンターで安価なもの) | 縦糸と横糸を編み込んで作られている。 微細な編み目の隙間がある。 | × リスク高 編み目の隙間から虫が出入りしやすい。 経年劣化で繊維がほつれると隙間が広がり、 そこから雑草が突き抜けると、 虫の侵入経路になる。 |
| 不織布タイプ (デュポン社ザバーン/プランテックスなど) | 繊維を複雑に絡み合わせて熱圧着している。 高密度で隙間がほとんどない。 | ◎ 最適 物理的な隙間がないため、 地中の虫が出てくることも、 外の虫が潜ることもできない。 突き抜けに強く、 雑草(虫の餌)を完全に抑え込む。 |
織布タイプは安価で手に入りやすいですが、編み目の隙間からチガヤやスギナといった強い雑草が突き抜けてくることがよくあります。シートを貫通されると、その穴が虫の出入り口になってしまいます。一方、高密度の不織布タイプは、物理的に「壁」を作るようなもの。虫が通り抜ける隙間を与えません。初期費用は少し高くなりますが、数年後の快適さを考えれば、投資する価値は十分にあります。
砂利の下も注意が必要な整地と除草の重要性
「どうせシートで隠れるから、下地は適当でいいや」と考えていませんか?実は、この油断が将来の虫トラブルを招く最大の原因です。シートを敷く前の「下準備」こそが、虫対策の8割を決めると言っても過言ではありません。
1. 徹底的な除草(根絶)
今生えている雑草を、地上の葉っぱだけでなく「根っこ」から完全に取り除いてください。根が残っていると、シートの下で再生してシートを持ち上げたり、枯れて腐敗してダンゴムシやゴキブリの餌になったりします。「餌をなくす」ことが、害虫を寄せ付けない基本です。
2. 平らな整地(転圧)
除草が終わったら、地面を平らにならして、足で踏み固めるか、レンガなどで叩いてしっかりと固めます(転圧と言います)。地面がフカフカでデコボコしていると、シートとの間に隙間ができ、そこが虫の居住スペースになってしまいます。また、窪みができると水たまりになり、蚊が発生します。「虫が住める隙間を物理的に押し潰す」イメージで、平らで硬い地面を作ってください。
排水材を活用して湿気を溜めない工夫
もし、あなたのお庭が元々「雨が降るといつまでも水が引かない」ような粘土質の土地だとしたら、そのまま防草シートを敷くのは少し危険です。シートの下で湿気が飽和状態になり、ムカデやカビの温床になる可能性が高いからです。
このような場合は、シートを敷く前に土壌改良材(川砂やパーライトなど)を混ぜて水はけを良くするか、少し本格的になりますが「暗渠排水(あんきょはいすい)」を検討する必要があります。また、人工芝を敷く場合は、人工芝と路盤の間に「ドレイナージプロ」のような専用の排水マットを挟むのが非常に効果的です。
この排水マットは、人工芝の下に水の通り道(空間)を確保してくれるため、大雨が降っても水がスムーズに排出され、湿気がこもるのを防いでくれます。少しコストはかかりますが、ジメジメした環境を劇的に改善できるため、ムカデ対策としては最強の部類に入ります。
ピン穴や継ぎ目をテープで完全に塞ぐ
どんなに高機能な防草シートを使っても、施工に隙間があればそこから虫は侵入してきます。「虫は数ミリの隙間があれば入ってくる」という前提で、徹底的に隙間をなくす施工を心がけましょう。
- 重ね代(ラップ): シート同士をつなぐときは、最低でも10cm以上重ね合わせます。ここが狭いと、めくれ上がって隙間ができてしまいます。
- 粘着テープの活用: これがプロの技です。シートを固定するピンを打ったら、そのピンの上から専用の「防草シート用粘着テープ」を貼って穴を塞ぎます。同様に、シートの継ぎ目や、壁際・コンクリートブロックとの境界線も、テープや専用接着剤で隙間なく密閉します。
「地面をラッピングする」くらいの気持ちで密閉してしまえば、地中の虫は出てこれず、地上の虫は潜れません。この「テープ処理」をやるかやらないかで、数年後の虫の発生率に雲泥の差が出ます。
薬剤やハーブで虫を寄せ付けない管理
最後に、施工後のプラスアルファの対策です。物理的な防御に加えて、化学的・生物的なバリアを張ることで、鉄壁の守りとなります。
もしムカデの発生が特に心配な地域にお住まいなら、防草シートの周囲や家の基礎周りに、粉剤タイプの殺虫剤(ムカデコロリや虫コロリアースなど)を帯状に散布して「結界」を作っておくのが有効です。これにより、外部からの侵入を水際で防ぐことができます。ただし、薬剤が人工芝やシートに直接かかると変質する恐れがあるため、必ず使用上の注意を確認してください。
「子供やペットがいるから、強い薬は使いたくない」という方には、ハーブの活用がおすすめです。レモングラス、ゼラニウム、ユーカリ、ペパーミントなどは、多くの虫が嫌う香り成分を含んでいます。これらを庭の周囲に植えたり、鉢植えにしてシートの上に(レンガなどを噛ませて)置いたりすることで、天然の忌避剤として機能します。お庭の良い香りも楽しめて、一石二鳥ですよ。
防草シートの虫害に関するよくある質問
- 防草シートを敷くとシロアリが心配です。
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防草シート自体がシロアリを呼ぶわけではありませんが、湿気対策は必須です。最も重要なのは「基礎の換気口を塞がないこと」と「基礎の立ち上がり部分をシートで覆わないこと(目視点検できるようにすること)」です。この2点を守れば、過度に恐れる必要はありません。
- すでに虫がわいてしまったらどうすればいいですか?
-
まずは「餌」と「隠れ家」をなくしましょう。シートの上に溜まった落ち葉や土を掃除し、湿気が溜まっている場所がないか確認します。それでも収まらない場合は、適用のある殺虫剤を使用するか、一度シートをめくって下地の状況(水はけや雑草の根)を改善する必要があるかもしれません。
防草シートのデメリットと虫対策のまとめ
今回は「防草シート デメリット 虫」と検索されている方に向けて、虫が発生する本当の原因と、プロ顔負けの対策方法について詳しく解説してきました。長くなってしまいましたが、要点は以下の4つです。
- 原因は「湿気・暗所・隙間」: シートそのものではなく、不適切な環境が虫を呼び寄せます。
- 「不織布」を選ぶ: 織布タイプは隙間ができやすい。高密度な不織布シートで物理的にシャットアウトしましょう。
- 下地作りが命: 雑草の根を絶ち、地面を平らに固めることで、虫の餌と住処をなくします。
- 隙間を埋める: ピン穴や継ぎ目を専用テープで塞ぎ、完全密閉することが最大の防御です。
「虫が出るかも…」と不安になって何もしないまま放置すると、雑草は伸び放題になり、それこそ虫たちの楽園になってしまいます。正しい知識とほんの少しの手間を惜しまなければ、防草シートはあなたの強い味方です。ぜひ今回の記事を参考に、虫のいない、清潔で快適なお庭づくりに挑戦してみてくださいね。
