こんにちは。庭と暮らす、日々のこと、運営者の「ゆう」です。
庭仕事をしていると、どうしても頭を悩ませるのがスギナの存在ですよね。春になると可愛らしいツクシが顔を出したかと思えば、その後から不気味なほど鮮やかな緑色のスギナが一斉に生えてきて、庭を占領してしまう…。抜いても抜いても、翌週にはまた元通り生えてくるあのしぶとさに、うんざりしている方も多いのではないでしょうか。
「これだけ抜いたんだから、もう生えてこないだろう」
そう思って一生懸命草むしりをしたのに、努力をあざ笑うかのように再生するスギナを見て、途方に暮れた経験は私だけではないはずです。私自身、最初は「農薬はなるべく使いたくない」と草むしりで対抗していましたが、地下茎で無限に増えるスギナの生態を知り、物理的な除去には限界があること、そして化学的なアプローチ(除草剤)こそが最も環境負荷を抑えつつ解決できる手段であることを痛感しました。
そこで今回は、これまでの失敗と成功の経験に基づき、スギナに本当に効く除草剤のおすすめ商品や、巷で「最強」と言われる薬剤の選び方、そして効果を最大化するための「散布時期」について、徹底的に詳しくお話しします。芝生の中に入り込んだスギナ対策や、ペットがいるご家庭での安全性、ネットでよく見かける「石灰で枯れる説」の真偽についても触れていきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- スギナが通常の草むしりや除草剤では枯れない根本的な理由と生態
- ラウンドアップやサンフーロンなど代表的な除草剤の違いと賢い選び方
- 根絶を目指すために最も重要な「秋の散布」と「25倍希釈」というプロの常識
- 芝生を枯らさずにスギナだけを退治する方法や、安全な薬剤運用のコツ
スギナ対策の除草剤でおすすめの選び方と種類

スギナを退治しようと思ってホームセンターの園芸コーナーに行っても、棚にはたくさんの種類の除草剤が並んでいて、結局どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。「強力」と書いてあってもスギナには効かなかったり、「全草対応」とあっても根までは枯れなかったり…。ここでは、スギナの独特な生物学的特性に合わせた薬剤の選び方と、それぞれの商品の特徴について、深掘りして解説していきます。
なぜ枯れない?スギナの地下茎と最強の対策
スギナが、ヨモギやドクダミと並んで日本で最も厄介な「難防除雑草」の一つとして位置づけられている最大の理由は、その驚異的な生命力を支える地下茎(ちかけい)システムにあります。
私たちが普段、庭で見ているあの緑色のスギナ(栄養茎)は、実は植物体全体のごく一部、いわば氷山の一角に過ぎません。地面の下、深さ数十センチから時には1メートル以上もの深さに、茶色くて硬い根っこのような茎が縦横無尽に張り巡らされているのです。
再生のエネルギー源「塊茎」の存在
スギナの地下茎には、ところどころに「塊茎(かいけい)」と呼ばれるコブのような器官が付いています。これはスギナにとってのエネルギー貯蔵タンク(バッテリー)のようなもので、光合成で作ったデンプンなどの栄養分をたっぷりと溜め込んでいます。
私たちが一生懸命に地上の草をむしったり、刈り払い機で刈ったりしても、スギナが痛くも痒くもないのは、この地下のタンクが無傷だからです。地上部がなくなっても、塊茎に蓄えられた膨大なエネルギーを使って、すぐに新しい芽を地上へ送り出してきます。これが「抜いても抜いても生えてくる」の正体です。
物理的除去が逆効果になる理由
さらに恐ろしいのが、スギナの持つ再生能力です。良かれと思ってクワで土を掘り返したり、耕運機をかけたりすると、地下茎がバラバラに切断されてしまいますよね。普通ならこれで死んでしまいそうですが、スギナの場合、切断された地下茎の断片一つひとつから新しい個体として再生する能力を持っています。
つまり、中途半端に耕すことは、スギナを減らすどころか、株分けをして庭中にばら撒き、生息範囲を拡大させる「増殖の手助け」をしてしまうことになるのです。私自身、過去に花壇を作ろうと土を掘り返した結果、翌年にスギナが大発生して絶望した経験があります。
ここがポイント
スギナに対して物理的な除去(草むしりや耕運)は、労力がかかるだけでなく、かえって状況を悪化させるリスクがあります。スギナを完全に枯らすには、葉から吸収させた薬剤成分を地下茎の隅々まで運ばせ、地下の貯蔵タンク(塊茎)ごと破壊できる「移行性」の高い除草剤を使用することが、唯一にして最強の解決策となります。
液体タイプと粒剤の効果的な使い分け
除草剤のパッケージを見ると、「シャワータイプ」「希釈タイプ」といった液体のものと、「パラパラ撒くだけ」といった粒状のものがあることに気づくと思います。これらは単に形状が違うだけでなく、雑草に対する「効き方(作用機序)」が全く異なります。スギナを完全に制圧するためには、この2つの特性を理解し、状況に応じて使い分ける、あるいは組み合わせる戦略が有効です。
1. 液体タイプ(茎葉処理剤):今あるスギナを叩く
液体タイプの除草剤は、専門用語で「茎葉処理剤(けいようしょりざい)」と呼ばれます。その名の通り、植物の茎や葉に直接薬剤をかけることで、そこから成分を吸収させて枯らすタイプです。
- メリット:すでに生えている雑草に対して即効性があり、成分によっては根まで枯らすことができます。
- デメリット:薬剤がかかっていない葉や、まだ土の中にいる種子、これから生えてくる芽には効果がありません(一部、土壌処理効果を併せ持つ製品もあります)。
- スギナへの適用:地下茎まで成分を運ぶ必要があるため、スギナ退治の主力となるのは、この液体タイプの中でも「移行型(グリホサート系)」と呼ばれるものです。
2. 粒剤タイプ(土壌処理剤):未来のスギナを防ぐ
粒剤タイプは、「土壌処理剤(どじょうしょりざい)」と呼ばれます。地面にパラパラと撒くと、空気中の水分や雨で成分が溶け出し、土の表面に「処理層」と呼ばれるバリアを作ります。
- メリット:効果が長期間(3ヶ月〜半年以上)持続し、雑草の発芽や成長を未然に防ぐことができます。手間がかからないのが最大の利点です。
- デメリット:すでに大きく育ってしまった雑草(特にスギナのような地下茎植物)を枯らす力は、液体タイプに比べて弱い傾向があります。また、成分が土に残るため、近くに植えたい植物がある場合は使えません。
- スギナへの適用:スギナ専用として有名な「カソロン粒剤」などは強力ですが、基本的には「液体で一度枯らした後の、再生防止(予防)」として使うのが最も賢い使い方です。
私の運用ルール
私はまず、春や秋の生育期に「液体タイプ(グリホサート系)」を使って今あるスギナを根こそぎ枯らします。そして、スギナが姿を消した冬場や早春に「粒剤タイプ」を撒いておき、春の発生を抑えるという「二段構え」の作戦をとっています。これが一番確実で、年間の管理が楽になりますよ。
最強の除草剤はラウンドアップかサンフーロンか
スギナ対策として、ネット検索やホームセンターで必ずと言っていいほど目にするのが、日産化学の「ラウンドアップマックスロード」と、大成農材の「サンフーロン」です。どちらも有効成分は「グリホサート」ですが、価格には倍以上の差があることも。「高い方が効くの?」「安い方でも大丈夫?」と悩みますよね。それぞれの特性を比較してみましょう。
絶対王者:ラウンドアップマックスロード
結論から言うと、スギナに対する効果の確実性と信頼性において、ラウンドアップマックスロードの右に出るものはありません。まさに「最強」の名にふさわしい除草剤です。
その秘密は、有効成分(グリホサートカリウム塩)の濃度もさることながら、独自に配合された「界面活性剤」の技術力にあります。除草剤の効果は、「いかに葉っぱから成分を浸透させるか」で決まりますが、ラウンドアップは散布後わずか1時間で雨が降っても効果が落ちないほどの吸収スピードを持っています。
また、朝露に濡れた状態や、気温が低い時期の散布でも安定した効果を発揮します。スギナのような難防除雑草は、少しの条件の違いで枯れ残ることが多いため、この「悪条件でも効く」という安心感は大きなメリットです。
(出典:日産化学『ラウンドアップマックスロード 製品特徴』)
コスパの神様:サンフーロン
対するサンフーロンは、いわば除草剤界の「ジェネリック医薬品」です。ラウンドアップの初代(現在のマックスロードより前の世代)の特許が切れた後に作られた製品で、成分は「グリホサートイソプロピルアミン塩」です。
マックスロードに比べると、雨への強さや吸収スピードといった「付加価値」の部分では一歩譲りますが、除草剤としての基本的な能力は十分に備えています。最大の魅力はその安さ。広い敷地を管理する場合、薬剤費は馬鹿になりません。
| 比較項目 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン |
|---|---|---|
| 価格帯 | 高価(500mlで数千円クラス) | 安価(500mlで数百円〜千円前後) |
| 有効成分 | グリホサートカリウム塩(高活性) | グリホサートイソプロピルアミン塩 |
| 耐雨性 | 散布後1時間でOK | 散布後6時間は雨を避けたい |
| スギナへの適性 | ◎(最強) 多少条件が悪くても枯らす力がある | ◯(良) 高濃度で撒けば十分枯れる |
| おすすめな人 | 失敗したくない人、小〜中規模の庭、 忙しくて天候を気にしきれない人 | コスト重視の人、広い土地がある人、 こまめに散布できる人 |
私の場合、絶対に枯らしたい家の周りや、スギナが密集している頑固なエリアには「ラウンドアップ」を使い、裏庭や空き地などの広範囲には「サンフーロン」を少し濃いめにして撒く、というように使い分けています。サンフーロンでも、後述する「25倍希釈」を守れば、スギナをしっかり枯らすことができますので安心してください。
スギナに石灰は効果なし!誤解と正しい知識
インターネットの知恵袋や、昔ながらの農家さんの話で、「スギナは酸性土壌を好むから、苦土石灰(くどせっかい)や消石灰を撒いて土をアルカリ性にすれば生えなくなる」という説を聞いたことはありませんか?
まるで民間療法のように語り継がれているこの話ですが、現代の植物生理学および雑草管理の観点からは、「スギナ防除として石灰散布は効果がない」と断言できます。これは非常に根深い誤解の一つです。
なぜ「石灰で枯れる」という誤解が広まったのか
この説の根拠となっているのは、「スギナは酸性土壌指標植物である」という事実です。確かにスギナは、他の多くの植物が育たないような強い酸性の痩せた土地でも生育できます。そのため、「スギナが生えている=そこは酸性土壌である」という指標にはなります。
しかし、これは「酸性土壌でしか育たない(酸性が好き)」という意味ではありません。スギナは環境適応能力が極めて高く、酸性はもちろん、中性からアルカリ性の土壌でも問題なく、むしろ元気に育つのです。実際、コンクリート(強アルカリ性)の隙間から元気に生えているスギナを見たことがありませんか?あれが何よりの証拠です。
石灰散布のデメリット
防除効果がないどころか、むやみに石灰を大量散布することは、土壌にとってデメリットになることもあります。
- 土が硬くなる:消石灰などを撒きすぎると、土が締まって硬くなり、水はけが悪くなることがあります。
- 他の雑草の変化:土壌pHが変わることで、酸性を嫌う他の雑草(オオバコやイネ科雑草など)が元気に育つ環境を作ってしまい、結果として「スギナは減らないのに、他の草も増えた」というカオスな状態になりかねません。
結論
スギナ対策として重い石灰を買ってきて撒く労力は、残念ながら報われません。土壌改良は野菜や花を育てる時には重要ですが、雑草対策としては「専用の除草剤」を使って、科学的にアプローチするのが最も効率的で確実な近道です。
ペットや庭木に配慮した安全な薬剤の選び方
「除草剤=毒」というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。特に、愛犬や愛猫を庭で遊ばせている方や、大切に育てている植木がある方にとっては、安全性が最優先事項ですよね。
グリホサート系除草剤の安全性メカニズム
実は、今回スギナ対策としておすすめしている「グリホサート系除草剤(ラウンドアップやサンフーロン)」は、正しく使えば非常に安全性の高い薬剤です。
その理由は、この薬剤が攻撃するのが「植物にしか存在しない代謝経路(シキミ酸経路)」だからです。この経路は植物がアミノ酸を作るためのものですが、人間や犬・猫などの動物にはそもそもこの経路が存在しません。そのため、もし微量を口にしてしまっても、体内で作用することなく排出されるため、毒性は食塩よりも低いとさえ言われています。
また、薬剤が土に落ちると、すぐに土の粒子にピタッと吸着され、土の中にいる微生物のエサとなって水と炭酸ガスなどの自然物に分解されます。「土に毒が残り続ける」という心配も、このタイプの除草剤に関してはほとんどありません。
それでも守るべき安全ルール
いくら安全性が高いと言っても、化学物質であることに変わりはありません。以下のルールは徹底しましょう。
安全に使用するための鉄則
- 散布当日は立ち入り禁止:薬剤が葉に付着して乾くまでの間(半日〜1日程度)は、ペットや子供が庭に入らないようにしましょう。乾いてしまえば、触れても体内に取り込まれることはありません。
- 農耕地登録のあるものを選ぶ:家庭菜園の近くや、果樹の下草に使う場合は、必ず国の厳しい安全基準をクリアした「農耕地用」の登録がある除草剤(ラウンドアップ、サンフーロンなど)を選んでください。「非農耕地用」と書かれた安価な除草剤は、成分が同じでも不純物の基準などが異なる場合があり、食用作物の近くでは使用できません。
- ドリフト(飛散)に注意:風の強い日に散布すると、薬剤が霧状になって隣の家の植物や、自分の大切にしている庭木に飛んでしまうことがあります。風のない穏やかな日を選び、噴口を低くして散布しましょう。
- 木の根元には撒かない:土に落ちると不活性化するとはいえ、大量の薬剤が木の根元に染み込むと、根から吸収されて木が弱ったり枯れたりするリスクはゼロではありません。庭木の幹周りへの散布は避けましょう。
スギナ用除草剤のおすすめな時期と効果的散布法

「最強の除草剤を買ったのに、スギナが枯れなかった!」
そんな経験があるなら、もしかすると「撒く時期」や「撒き方」が少しズレていたのかもしれません。スギナはただ薬剤を撒けば枯れるような生易しい相手ではありません。敵(スギナ)のライフサイクルを知り、最も弱点が露呈するタイミングで、急所を突くような散布を行う必要があります。ここからは、私が実践して効果を実感したプロ直伝のテクニックをご紹介します。
根まで枯らす散布時期は秋が最も重要

ここが今回の記事で一番お伝えしたいポイントです。スギナ防除において、多くの人が春(4月〜6月)に一生懸命除草剤を撒きます。もちろん、春の散布も地上のスギナを減らすためには有効ですが、「根絶」や「翌年の発生量を減らす」ことを目的にするなら、最も重要な時期は間違いなく「秋」です。
なぜ秋なのか?植物の「転流」を利用する
植物には、季節によって体内の栄養の流れが変わる生理現象があります。これを「転流(てんりゅう)」と言います。
- 春〜夏(成長期):地下の根からエネルギーを地上へ送り出し、どんどん茎や葉を伸ばす時期。流れは「地下 → 地上」。
- 秋(貯蔵期):冬の寒さに備え、地上部(葉)で光合成をして作った栄養分を、地下の根っこへ送り込んで蓄える時期。流れは「地上 → 地上」。
除草剤(グリホサート系)は、植物体内の栄養の流れに乗って移動する性質があります。つまり、春に撒いても、栄養の流れが「上向き」なので、薬剤が地下茎の奥深くまで届きにくいのです(逆流しようとするようなものです)。
一方、秋(10月〜11月頃)は、植物自身がせっせと地下へ栄養を運んでいます。このタイミングで除草剤を撒くと、薬剤がその「下向き」の急流に乗って、地下茎の末端や、再生の核となる塊茎(かいけい)までスムーズに運ばれます。まるでトロイの木馬のように、スギナ自身の手によって毒を心臓部まで運ばせることができるのです。
具体的な秋のアクションプラン
10月に入り、朝晩が涼しくなってきた頃がベストタイミングです。スギナがまだ緑色をしていて、光合成を行っている必要があります(茶色く枯れてからでは手遅れです)。この時期に、後述する高濃度で念入りに散布を行うことで、翌春のスギナ発生量を劇的に減らすことができます。これは「来年のための先行投資」です。
希釈倍率は25倍が正解!高濃度の必要性
除草剤の裏面ラベルを見ると、「100倍希釈(一年生雑草)」「50倍希釈(多年生雑草)」などと書かれていますが、スギナに対しては「25倍」という非常に濃い濃度での散布が推奨されています。
なぜ100倍では効かないのか
通常の雑草であれば100倍(水10リットルに対して薬剤100ml)で十分枯れます。しかし、スギナは地下茎の量が圧倒的に多く、深くまで伸びています。薄い薬剤では、地上部を枯らすだけで精一杯で、地下茎を破壊するのに十分な量の有効成分を送り届けることができません。結果、地上部は一時的に茶色くなりますが、地下茎は生き残り、すぐに再生してしまいます。
コストを恐れず濃く撒くことが、結果的に安上がり
「除草剤も高いし、25倍なんてもったいない…」という気持ち、痛いほど分かります。水10リットルに対して400mlもの薬剤を使うわけですから、500mlボトルならほぼ一本使い切ってしまいます。
しかし、ここでケチって100倍で撒いて失敗し、また生えてきて撒き直し…を繰り返すのと、25倍で一発で根まで枯らして、翌年の発生を抑えるのとでは、どちらがトータルの薬剤費と労力が安く済むでしょうか?答えは明らかです。
「スギナには25倍」。これが鉄則です。ジェネリックのサンフーロンを使う場合などは、特にこの濃度を守るようにしてください。
展着剤を使って弾く葉に薬剤を密着させる
スギナの葉を触ってみると、ザラザラしていて硬いですよね。スギナ(トクサ科)の表面にはガラス質の「ケイ酸」が多く含まれており、さらに針のような細い葉の形状も相まって、非常に水を弾きやすい性質(撥水性)を持っています。
せっかく25倍の高濃度液を作って撒いても、スギナの葉の上で水滴が玉のようになってコロコロと転がり落ちてしまっては、全く意味がありません。薬剤は葉から吸収されて初めて効果を発揮するからです。
展着剤は「接着剤」の役割
そこで必須となるのが「展着剤(てんちゃくざい)」です。これは薬剤の表面張力を下げて、葉っぱにベタリと張り付くようにするための補助剤です。これを希釈液にほんの数滴(水10リットルに2〜3ml程度)混ぜるだけで、効果が劇的に変わります。
- 普通の展着剤(ダインなど):安価で入手しやすい。これを入れるだけでも弾きにくくなります。
- 機能性展着剤:さらに浸透力を高めるタイプもありますが、家庭用のスギナ対策なら通常の展着剤で十分です。
数百円で買えて何年も使えるものなので、スギナ対策をするなら、除草剤とセットで必ず用意してください。食器用洗剤を数滴混ぜるという裏技もありますが、泡立ちすぎて扱いにくかったり、成分的に推奨されなかったりするので、専用の展着剤を使うのが無難です。
芝生の中のスギナだけを枯らす選択性除草剤
庭作りをしている人にとって悪夢なのが、大切に手入れしている芝生の中にスギナが侵入してくるケースです。ここで前述のラウンドアップなどを使ってしまうと、スギナと一緒に芝生も枯れてしまい、茶色いハゲができてしまいます。
芝生(日本芝)を守りつつ、スギナだけを狙い撃ちするには、「選択性除草剤」を使用します。
MCPP液剤の活用
代表的なのが「MCPP液剤」です。この除草剤は、ホルモン型の作用機序を持ち、イネ科植物(芝生)には影響が少なく、広葉雑草やスギナには強く作用するという魔法のような特性を持っています。
これを規定の倍率で希釈し、スギナが生えている部分に散布します。すると、スギナの茎がねじれるように曲がりながら、徐々に枯れていきます。
【超重要】西洋芝には絶対に使わないで!
MCPP液剤が安全に使用できるのは、「高麗芝(コウライシバ)」や「野芝(ノシバ)」などの日本芝に限られます。
ベントグラス、ブルーグラス、ライグラスなどの寒地型西洋芝(一年中緑色の芝)に対して使用すると、深刻な薬害が発生し、芝生が枯れてしまう恐れがあります。西洋芝の中のスギナ対策は非常に難しいため、筆でスギナだけにラウンドアップを塗るなどの物理的な工夫が必要です。使用前には必ず製品ラベルの「適用作物」を確認してください。
100均グッズ等を活用したコスト削減術
除草剤散布には色々な道具が必要ですが、プロ用の高価な機材を揃える必要はありません。私が愛用しているのは、100円ショップ(ダイソーやセリアなど)で手に入るアイテムです。
おすすめ100均アイテムリスト
- 料理用計量カップ&計量スプーン:薬剤の計量に使います。当然ですが、料理用とは絶対に分けて、「除草剤専用」と大きくマジックで書いておきましょう。
- 大型スポイト:少量の薬剤を吸い取るのに便利です。
- ゴム手袋・保護メガネ:薬剤が皮膚についたり目に入ったりするのを防ぎます。100均のもので十分機能します。
- 使い捨てマスク:散布中の吸い込み防止に。
- じょうろのハス口(ペットボトル用):ペットボトルの先に付けるだけで簡易じょうろになるグッズ。スポット的に撒きたい時に重宝します。
噴霧器(スプレー)だけはホームセンターで
100均にも霧吹きは売っていますが、広い範囲に撒くならホームセンターで売っている1,000円〜2,000円程度の「蓄圧式噴霧器(4リットル程度)」を一つ買っておくことを強くおすすめします。ポンピングして圧力をかけるだけで連続してシャワーが出るので手が疲れませんし、ノズルが長いので薬剤に触れずに、葉の裏や株元にピンポイントで散布できます。作業効率と安全性が段違いですよ。
スギナ対策のよくある質問(Q&A)

ここまで、スギナに対する除草剤の選び方や散布テクニックについて熱く語ってきましたが、実際に作業をしようとすると「こんな時はどうすればいいの?」「これってやって大丈夫?」といった細かい疑問が湧いてくるものです。 ここでは、私がブログの読者さんや近所の庭友だちからよく聞かれる質問を、Q&A形式でまとめてみました。スギナ駆除の「落とし穴」にはまらないよう、ぜひチェックしておいてください。
- スギナが伸び放題で邪魔です。草刈りをして短くしてから除草剤を撒いた方が効きますか?
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絶対に刈り取らず、伸びた状態で散布してください!
これ、実は一番やってしまいがちな失敗なんです。「短くした方が薬が根に届きそう」という気持ちはすごく分かるのですが、除草剤(グリホサート系)は「葉っぱの表面から成分を吸収する」という仕組みになっています。
つまり、葉っぱや茎の面積(受薬面積といいます)が広ければ広いほど、それだけたくさんの薬剤を体内に取り込むことができ、地下茎まで成分を送り込むパワーが強くなるんです。 逆に、草刈りをして地上部を小さくしてしまうと、薬剤を受け止める「受け皿」を自分で捨ててしまうようなものです。これでは十分な量の毒が回らず、根を枯らすことができません。
もし既に刈ってしまった場合は、悔しいですがグッと我慢して、スギナが再び20〜30cmくらいまで伸びて葉が開くのを待ってから散布しましょう。「フサフサの状態こそが最大のチャンス」と覚えておいてくださいね。
- 散布した後に雨が降ってしまいました。撒き直しが必要ですか?
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使った除草剤の種類と、雨までの時間によります。
除草剤が葉に吸収されるまでには、一定の時間が必要です。その前に雨で流れてしまうと、効果は激減してしまいます。目安は以下の通りです。
- ラウンドアップマックスロードの場合:散布後1時間経っていれば、その後に雨が降っても成分の大部分が吸収されているため、基本的に撒き直しの必要はありません。これが「最強」と言われる理由の一つです。
- サンフーロンや一般的なグリホサート剤の場合:吸収されるまでに約6時間は必要と言われています。もし撒いてから1〜2時間で土砂降りになってしまった場合は、残念ながらほとんど流れてしまっている可能性が高いので、天候が回復してから再度(規定濃度で)撒き直すことをおすすめします。
天気予報とにらめっこして、「今日は絶対に降らない!」という日を選ぶのが一番ですが、山の近くなど天気が変わりやすい場所にお住まいの方は、耐雨性の高いラウンドアップを選んでおくのが無難かもしれません。
- 除草剤を使いたくありません。「塩」や「熱湯」で枯らせると聞いたのですが本当ですか?
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スギナに対して熱湯は効果が薄く、塩は絶対にNGです。
まず「熱湯」ですが、かけた瞬間の地上部は茹で上がって枯れますが、地中深くまで熱が伝わることはありません。深い場所にいるスギナの地下茎には全くダメージがないため、数日後には何事もなかったかのように再生してきます。火傷の危険もあるのでおすすめしません。
次に「塩(塩水)」ですが、これは絶対にやってはいけません。 確かに塩を撒けば、浸透圧で植物は水分を奪われて枯れます。しかし、塩化ナトリウムは土の中で分解されず、半永久的にそこに残り続けます。これを「塩害」といいます。
- 今後、その場所で花や野菜を育てようと思っても、何も育たない「死の土地」になってしまいます。
- 雨で溶け出した塩分が隣の家の敷地や畑に流れ込み、近隣トラブルや賠償問題に発展するケースもあります。
- 家の基礎コンクリートや配管を腐食させる原因にもなります。
「家にあるもので手軽に」という気持ちは分かりますが、代償があまりにも大きすぎます。環境への負荷を考えても、土で自然分解されるグリホサート系除草剤を適正に使用する方が、はるかに安全で理にかなっています。
- 頑固なスギナには「原液」をそのままかけた方が効くのではないですか?
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原液散布は逆効果になることが多いので、必ず水で薄めて使いましょう。
「濃ければ濃いほど効くはず!」と思って原液をドバッとかけたくなりますよね。でも、グリホサート系除草剤の場合、濃度が高すぎると葉の組織が瞬時に破壊されて(薬害を起こして)枯れてしまいます。
一見良さそうに思えますが、実はこれが落とし穴。葉がすぐに死んでしまうと、「葉から根へ成分を運ぶ」というベルトコンベアの機能もストップしてしまうんです。結果、地上部は茶色くなったけれど、地下茎には成分が届いていない…という状態になり、また生えてきます。
メーカーが推奨している「25倍〜50倍」という希釈倍率は、葉をじわじわと生かしながら、根まで成分を運び切るための絶妙なバランスなんです。焦らず、決められた濃度を守ることが、結果的に一番の近道になりますよ。
除草剤でスギナを枯らすおすすめ手順まとめ
長くなりましたが、最後にスギナ撲滅のための「勝利の方程式」をまとめます。
スギナ完全攻略フローチャート
- 時期を見極める:
- 【春(4〜6月)】草丈が20〜30cmになり、葉が出揃ったら散布。まずは地上部を抑える。
- 【秋(10〜11月)】最重要! 転流期を狙って根絶散布。
- 最強の薬剤を用意する:
- 「ラウンドアップマックスロード」または「サンフーロン」。
- 必ず「展着剤(ダインなど)」も一緒に用意。
- 特濃液を作る:
- 水4リットルなら、除草剤160mlを入れて「25倍」にする。
- 展着剤を数滴垂らしてよく混ぜる。
- 丁寧に散布する:
- 風のない晴れた日に。
- スギナの緑色の部分全体がしっとり濡れるまでたっぷりと。
- 放置する:
- 散布後、変色し始めてもすぐに抜かない。根まで成分が回るのを待つため、完全に枯れ果てるまで(2週間〜1ヶ月)は放置する。
スギナとの戦いは、残念ながら「一度撒いて終わり」ではありません。地下茎の貯蔵養分が尽きるまで、何度か攻撃を繰り返す必要があるかもしれません。
しかし、今回ご紹介した「秋の散布」と「高濃度・展着剤」のテクニックを使えば、間違いなくスギナの勢力は弱まり、翌年の庭仕事が驚くほど楽になるはずです。焦らず、じっくりと、根気強く向き合っていきましょう。いつか必ず、スギナのない美しい庭を取り戻せますよ。
※本記事で紹介した除草剤や対策方法は、一般的な情報および筆者の経験に基づいています。使用の際は必ず各製品のラベルや説明書をよく読み、用法・用量・使用上の注意を守って正しくお使いください。また、近隣への配慮やご自身の安全確保は自己責任で行ってください。
